あの藤井七冠を序盤から圧倒し、勝率3%のところまで追い詰め、Twitterでもトレンド入りした将棋の新戦法『村田システム』(2023/2/14発売)、実際にあの対局で使われたのは、村田システムを改良した新・村田システムとのことですが、まだ書籍が出ていなかったので通常の村田システムの本を購入しました。
↑Amazonで試し読みができます。
- どんなことが書かれているか、アマチュア二段による感想
- 初心者におすすめできるか
- 村田システムを読むべき人
まず、私が村田システムを学ぼうと思ったのには理由があって、後手番や対振り飛車で使える戦法が少なかったということです。一手損角換わりか穴熊しか使ってませんでした…
こうなると将棋もマンネリ化してきてしまい飽きが来てしまうんですよね。村田システムは、相手が居飛車でも振り飛車でも、または自分が後手番でも同じ駒組で戦えるということで、今の自分にピッタリだと思いました。
村田システムとは
簡単に言うと『角道を保留して、素早く銀を繰り出していく戦法』で、↓次の局面を村田システムの基本図として紹介しています。
ここから右銀を使っていく変化や、左銀を使っていく変化があり、使い分けることができます。
角道を通さないことの利点として、角交換をされて角換わりなどの難しい戦型にならずに、自分が戦いやすい形に誘導できることが挙げられます。
藤井七冠との対局で見せた新村田システムとの違いは飛車の位置です。↓新村田システムの基本図
飛車先の歩を交換して、2六に飛車を移動させて銀を繰り出して戦います。(角道を保留するのは同じ)
どんなことが書かれてる?
本書の目次は次のとおりです。
- 第一章『右銀システム(相居飛車編)』p10~149
- 第二章『左銀システム(相居飛車編)』p152~226
- 第三章『後手番村田システム(相居飛車編)』p228~301
- 第四章『村田システムvs振り飛車』p304~359
本書の大半は、先手番の相居飛車について解説がされていた。相手が矢倉に組んできた時の対策や、棒銀・UFO銀・鎖かま銀・早繰り銀で攻めてきた時の受け方が学べる。アマチュアだと棒銀で攻めてくる相手が多いので、非常に参考になるでしょう。
さらに18ページでは、思わずニヤケてしまう王手飛車取りのハメ手が紹介されており、これだけでも読む価値はあったと感じました。
他にも、現代将棋らしい居玉で戦いながら、相手の動きに合わせて矢倉囲いにも組める柔軟さがあったり、常識に捉われない様々な手順が見られました。
また、人によっては攻め将棋が好きだったり、穏やかに戦うのが好きだったりと、好みが違うと思いますが、本書ではそういった力戦や、角道を開けない戦い方の2パターンが紹介されているので、居飛車党ならだれでも読める本になっています。
後手番村田システムでは、矢倉対策、角換わり対策、相掛かり対策がしっかり載っていて、私としては満足でした。
振り飛車対策編は、おまけ程度の内容かと思いきや、中飛車・四間飛車・三間飛車・向かい飛車対策がしっかり解説されており、序盤の駒組で角道を開けていないとはいえ、まだ穴熊にもできる含みがあって、ギリギリまで相手に作戦がバレないのが素晴らしいと感じました。
村田システムは初心者におすすめできるのか
村田システムは『最新定跡を覚える余裕のないアマチュアの方におすすめ』という謳い文句で出されています。確かに学びは多かったのですが、覚える変化が多くて初心者がすぐに使いこなすのは不可能だと思いました。
他にも壁金囲いや上がった銀を下がったりなど、将棋が分かる方ならあまり指したくない手(常識に捉われない手)も多かったので、まずは一般的な戦法で将棋のセオリーを学んでから、村田システムを学ぶのが良いと思います。
どんな人におすすめ?
最後に今回紹介した『オールインワンの新戦法 村田システム』を読むべき人を紹介して終わりたいと思います。
村田システムをおすすめする人
- 先手番でも後手番でも強者と互角以上に戦える戦法を探している人
- 第2の得意戦法を探している人
- 角交換系の戦いが苦手な人
- 最近同じ将棋ばかりで飽きた方
こんな感じです。やはり 上がった銀を一度下げたり、壁金の形にしていくところが初心者におすすめしづらい気がしたので、ある程度将棋が分かっていて、奇襲?戦法的なのを持っておきたい方が読むべきだと思いました。
17手以上も動かすことがあるので、脳内で将棋盤を操るのが苦手な方は将棋盤があると便利です。PCの方はWeb将棋盤という便利ツールを作ったので活用してみてください。以上
タイトル | オールインワンの新戦法 村田システム (マイナビ将棋BOOKS) |
発売日 | 2023年2月14日 |
著者 | 村田顕弘 |
出版社 | マイナビ出版 |
価格(単行本) | ¥2,024(税込) |
価格(Kindle) | ¥1,822(税込) |
ページ数 | 360ページ |
コメント